主人公・信の前に大きな壁としてたち憚る趙将・李牧。
中華の大物を次々と討ち、今や中華で最も危ない男との評を受けています。
実際、史実でもキングダムの時代・春秋戦国時代の主役の1人でもある李牧。
今後の展開が非常に気になります。
目次
中華最強の軍師・李牧
信を始めとする秦国軍の前に大きく立ち憚るのが趙国の大将軍である李牧です。
中華を統一しようと目論む秦軍を潰そうと秦を除く他の六国の精鋭で軍を作った合従軍を計画・実行する等、現在(第661話)のところ中華で最も危険な将軍だと言えます。
そんな李牧の情報を詳しく見ていきましょう。
李牧の来歴
元々は趙国北の国境付近の雁門で強大な匈奴軍から趙国を守る将軍でした。
長年の宿敵であった匈奴軍を策ではめて一方的に殲滅しています。
その後王騎将軍を討ち果たす前に趙国の中央の将軍となっています。
本人が語るところによると、若い頃の李牧は戦争に溺れ家族や仲間を全て失い、最後には自信の命さえ落としかける様な愚かな武人でした。
今とは180度違う人間ですね。
しかし、その頃の経験から現在の知将・李牧が生まれたのでしょう。
趙国宰相にして趙国三大天の1人
李牧は趙国の宰相で政治的な事柄にも関与しています。
さらには趙軍全体の指揮をとり、同時に現役の趙軍第一将でもあります。
まさに趙国の最重要人物であり、他国の趙国侵略の前には李牧という大きな壁が立ち塞がります。
ちなみに、趙国には三大天という秦国の六大将軍の様な制度があります。
李牧は2代目の三大天の1人です。
残りの2席は龐煖と空席でしたが龐煖が討たれたことによって現在(第661話)の三大天は李牧1人ということになっています。
初代の三大天は廉頗・藺相如・趙奢でした。
なお、秦王・嬴政の時代では藺相如も趙奢も既に亡くなっており、唯一健在の廉頗は趙王により国を追われて他国へと亡命しています。
李牧は生粋の軍師ではない
上でも言及している通り若い頃の李牧は前線で1兵卒として敵と直接戦っており武力もある程度は高いものを持っていると考えられます。
信も1度李牧と剣を交えた際に李牧の一刀で吹き飛ばされ、李牧の武力を認めています。
戦を好まない性格
実は李牧は戦が好きではありません。
馬陽の戦いではっきりと『心が痛む』『戦は嫌い』といったことを言っています。
国に忠誠心があり、国を守る事に全力をかけている印象です。
特に印象的なのは獄中から今後の趙軍の戦略を伝えようとしていたシーンです。
自身は処刑されるのが既定路線となっていたにも関わらずそれでも趙国を守る事を考えていたことがよく分かるシーンでした。
普段は温和に見える李牧ですが、国防の事となると感情が爆発するシーンもあったことから国防に対する並々ならぬ思いが伝わってきます。
李牧の戦歴
原作では語られていない戦歴が恐らく相当数あると考えられますが、ここではキングダムの原作内で出てきた李牧の主な戦歴だけを挙げていきます。
対匈奴戦
趙国の北の国境付近の大勢力匈奴。
長年趙国の悩みの1つであった匈奴との戦いだったが、李牧が策で一方的にはめて敵を殲滅し大勝利した。
この戦いは李牧による徹底的な情報封鎖で中華のどの国にも知られることはなく、これが馬陽で王騎を討つ為の伏線となった。
馬陽の戦い
表向きは趙軍総大将・龐煖と秦軍総大将・王騎の戦いであったが、裏で李牧が王騎を討つための策を張り巡らしていた。
最後は秦軍を策で追い詰めて龐煖が王騎を討ち取り大勝利。
李牧の名を中華全土に響き渡らせた戦いであった。
燕の大将軍・劇辛軍との戦い
王騎を討った後に狙いを付けたのは燕国の大将軍・劇辛だった。
『救国の英雄』の異名を持つ劇辛。
序盤李牧による奇策にはまり苦戦を強いられるが、劇辛は見事に李牧の策を見破り敵本陣まで迫った。
しかしそこで迎え撃った龐煖にあっさりと破れてしまう。
この戦いも大勝利した李牧の名はまたしても中華全土に響き渡ったのだった。
合従軍戦
秦国が中華統一に向けて魏国から奪った要地山陽。
この事態を重くみた李牧は秦以外の各国の首脳と対談し、六国の精鋭軍で秦国を潰しにかかる。
国門・函谷関で六国の精鋭軍の攻撃を食い止めた秦であったが李牧は軍を少数に分けて秘密裏に函谷関裏に突破し秦国王都・咸陽の喉元へと迫った。
しかし、楊端和率いる山の民の援軍により咸陽の1つ手前の城・蕞を落とせずに退却。
歴史的大敗北となった。
朱海平原の戦い
李牧の防衛策により秦の中華統一の道が閉ざされつつあると気づいた秦軍総司令・昌平君は今しか打てない大胆な一手を打つ。
それは趙国王都・邯鄲の手前の城・鄴を一気に取りにいくというものである。
総大将・王翦率いる王翦・桓騎・楊端和の三軍連合軍で鄴へ向けて趙を急襲した。
李牧軍と王翦軍は拮抗した戦いを繰り広げ、王翦は敵の刃が直前まで迫るほど追い詰められた。
しかし最後は秦軍の現場の将の力の差がものをいい、秦軍が勝利した。
李牧はこの敗北によって趙王に幽閉されることとなる。
李牧の特徴的な軍略
中華で屈指の知将らしく、李牧は戦略も独特なものがあります。
ここではその李牧のユニークな戦い方に焦点をあてます。
流動
自軍に意図的に渦のような流れを作り、本陣をエサに敵をその流れに迎え入れて敵軍を徐々に削っていき、敵将を討ち取るというものです。
まずは本陣を先頭に自身大軍のなかに突入し、渦のような流れを作ります。
次に流れの途中には流れを分断する石の役割を持った隊を多数配置していきます。
そうすることで1つの流れがいくつも分かれていくのです。
つまり敵軍は李牧本陣を狙ってその流れに乗ったら最後徐々に隊の数を削られていき、最終的には突入した隊の将を討たれてしまうのです。
この戦術で最も難しい点は流れを分断する役目の石をどこに配置するかです。
指揮者は出来るだけ高いところから戦況を観察し指示を出した方がやり易いのですが、李牧は現場と同じ目線でありながら全てを把握し指示を出すことが出来ます。
この事は驚くべき事であり、観戦していてその事に気づいた河了貂は驚愕するのでした。
ただ、李牧は合従軍戦で流動を仕掛けましたが本能型の極みに立つ麃公将軍に本能で見破られ小隊で本陣に急襲されています。
仕掛けている自分以外には絶対に見破れない、との絶対的な自身があった李牧でしたが策としては破られた形になりました。
ちなみに魏軍第一将・呉鳳明も同じ戦略を使えます。
呉鳳明の李牧との違いは自身が高台から指示していたところでしょう。
自身も戦場にいた李牧とは異なり呉鳳明は現場から少し離れた高台から戦場を観察し、指示を出していました。
これは李牧が呉鳳明よりも難しい指揮を執っていたことを意味します。
呉鳳明の軍略の才は現在の中華で最注目の1つで軍師としてはトップクラスだと言えます。
このことからも李牧の軍略の才が現在の中華で如何に突出しているかが分かるでしょう。
敵本陣の近くに自身の本陣を置く
燕の大将軍の劇辛を討った時に使った戦略です。
李牧軍の本陣には実は李牧はおらず、それは言わばダミー。
李牧は相手の本陣近くの場所から指揮を執り相手の策を読み、戦局を有利に進めていくというものです。
ただ、これも最終的には劇辛に見破られ、策としては大成功とはいきませんでした。
徹底的な情報封鎖
馬陽の戦いで王騎将軍を討った時に使った作戦です。
趙北部に北の大勢力匈奴を討つ程の強力な軍がいることを一切洩らしませんでした。
その事が原因で戦の終盤には王騎の手が後手後手になり追い詰められたのでした。
最終的に龐煖が王騎将軍を討ったのですが、王騎将軍を追い詰めるための布石となったのがこの情報封鎖でした。
知略型と本能型を併せ持った軍の構築
元々は知略型の将軍であった李牧。
しかし、合従軍戦で本能型の極みにあった秦軍の麃公将軍と戦った経験から本能型を分析・理解し、己の軍に組み込んでいきました。
実際には現場の指揮官に知略と本能型の戦い方を叩き込んで、その戦い方を軍に浸透させていきました。
この様にして李牧は知略と本能を併せ持った特異な軍を構築したのでした。
李牧の主な側近
李牧に忠を誓う主な側近をご紹介します。
カイネ
女剣士。
李牧とは雁門で出会い、李牧に忠を尽くす腹心。
同じく女性で戦場に出ている河了貂を敵でありながら助けるなど気にかけている様子。
李牧に対しては恋心もある模様。
傅抵
三大天の1席を狙う若き武将。
一撃の強さはないがスピードで相手を翻弄する戦い方をする。
信も初対決の際には速さに翻弄されて苦戦を強いられた。
同じく李牧の側近であるカイネに恋している。
そのカイネが李牧のことを慕っているからなのか、側近の割には李牧に対して少し否定的な発言もある。
慶舎
『沈黙の狩人』の異名を持っていた本能型の将。
戦場に細かく罠を張り、相手が動いてそれにかかるのを待つ戦い方からくる異名。
李牧も模擬戦では何度か敗れている程の実力の持ち主。
趙国三大天の残り一席に一番近いとされていたが、黒洋の戦いで秦将・桓騎に翻弄され、最終的に飛信隊隊長・信に討たれた。
馬南慈
李牧の副官の1人。
元々は趙国北の要塞・雁門の将軍。
雁門は大騎馬民族匈奴との戦いで中華の争乱以上の死地と言われている。
そこで『雁門の鬼人』の異名を持つ豪将。
武力が高く、李牧が勝負を決めにいく時の必殺の鉞となる。
朱海平原の戦いでは武力に劣る蒙恬に一矢報いられ顔面に一太刀を入れられた。
舜水樹
李牧の副官の1人。
橑陽の戦いでは十万規模の軍の大将に任命するなど、李牧がかなり信を置いている様子がある。
趙国の王都圏に侵入する王翦の動きにいち早く気付く等、かなりのキレ者である。
異民族・匈奴の言葉を流暢に話すことが出来る。
その生い立ち等はまだ謎に包まれている。
李牧の最後は処刑される?
現在(第661話時点)李牧は内政のゴタゴタに巻き込まれて趙王を始めとした朝廷勢力に命を追われ、趙国内の城・司馬尚が城主を務めている青歌城に身を寄せています。
趙王勢力は李牧を見つけ次第捕らえて処刑する算段で動いているようで、李牧とすれば国内外の両方からの敵に対処をせざるを得ない最大のピンチとなっています。
李牧が他国にとって大きな障壁であり、いなくなれば趙国自体が傾く際どい状況になっているにも関わらず私利私欲を優先する趙王勢力。
他国に国が攻め滅ぼされるのが先か趙王勢力に処刑されるのが先か、光が見えない状況が続いています。
まとめ
李牧の情報をまとめると以下になります。
- 趙国の政治と軍事の最重要人物
- 中華随一の軍略家
- 武勇も備える
- 強力な側近
- 敵は国内外に多数
現在のキングダムにおいて主人公・信の最重要の敵である李牧。
その一挙手一投足に中華全土の注目のみならず読者からの注目も浴びています。今後の展開が非常に楽しみです。
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